2010年02月22日


レッドウッドシティにあるEA本社キャンパス

シリコンバレーにキャンパスがある企業のカフェテリアを訪問する、「シリコンバレー地方版:社員食堂レポート」も第二十八回を迎えました。今回は、レッドウッドシティにあるゲームソフトメーカ、Electronic Arts (EA) 社を訪問しました。
EAといえばなんと行ってもSIMSやシムシティなどのシミュレーション系のゲームが有名ですが、他にもFIFA, Maddenなどのスポーツゲームも人気く、最近ではビートルズのRock Bandなどもオッサンホイホイとして我々の世代の人気を集めています。

EAの本社はオラクルにも近いレッドウッドシティにあり、大きな三つのビルに約4,000人の社員が勤務しています。従業員数では最近まで全米No.1のゲームソフトメーカでしたが、最近他社の統合などがあり現在は2番目となっています。会社は1982年創業と業界では歴史があり、従業員数は全世界で9000人です。

受付のすぐ近くにEAの歴史を辿る様々なアイテムが展示されているコーナーがありました。中には発売前のゲーム機メーカから提供される開発専用機などのレアアイテムも発見。写真はSEGAのジェネシス開発機と思われます。

EAの歴史を辿るゲーム博物館

SEGAの開発機

社内を歩いていると、ところどころに最新のゲームがプレイできるようにゲームマシンとモニタが設置されいます。SIMS開発チームの入っているビルの受付は特に派手な作りになっていて、薄暗いフロアにゲームのお試し機が並び受付ブースの背後には巨大なスクリーンが最新作のビデオを流してまるて展示会会場のブースのようです。新卒の企業訪問などは必ずここに案内して度肝を抜くそうです。こんな所に案内されて、ここが職場だと言われたらゲーム好きの学生だったらひとたまりもありません。

最新のアーケードゲームから過去の名機までもちろん無料

受付横にある最新ゲーム体験ブース

展示会場のような受付

社内には、その他の福利厚生設備も充実しており、託児所やスポーツクラブさながらの充実したジムももちろん無料で利用する事ができます。また、ユニークなのはゲームやビデオのレンタルサービスがあり、社員なら最新のDVDや他社製を含めたゲームソフトを無料で借りて家に持ち帰ることができるのです。自社、他社の製品をよく知り仕事に役立てるように、と言う事だと思いますがこれはゲーム好きには単純に嬉しいですね。

自由に利用できるフィットネスジム

豊富なゲームタイトルとDVDが借りられるライブラリ

ゲームはレンタルだけではなく、自社製品を購入するためのショップもあります。もちろん、購入には社員に毎年配られるポイントを利用する事ができるので、余程のハードコアゲーマーでない限りEAに勤める間はゲーム関連の支出の心配は要らないようです。

キャンパス内には二つのカフェテリアがあり、中華からハンバーガーまで様々なメニューから選ぶ事ができます。この日は丁度月に一度の寿司の日で、日本人の板前さん二人キッチンに入って寿司を握っていました。毎月寿司の日には食堂に長い行列ができるそうです。

食堂にも最新ゲームのバナーが

日本人の板さんが寿司を握ってくれます

今回は、寿司も魅力的だったのですが、SIMS 開発チームの入っているもう一つのビルのレストランのグリルメニューから、マッシュルームハンバーガーを頂きました。写真に写っているペットボトルはここでしか見られないEAカスタムボトルです。

注文を受けてから目の前でグリルしてくれる出来立てハンバーガー


今回EAを案内して下さったのは、オンラインゲームコミュニティ、pogo.comのプロデューサーを勤める Mark Lackey さんです。Mark さんは、これまでにシリコンバレーで複数のスタートアップでウエブ開発やEコマースのQAなどの携わった経験を活かし、5年前からEAのオンラインサービスを担当しています。プロデューサーというポジションは様々なプロジェクトで営業やマーケティングと開発チームの間に入り、プロジェクトの進行を管理すると言う重要な役目で、両者の板挟みになり調整が大変なこともあるが、プロジェクトを成功させた時の達成感たまらないと熱く語って下さいました。

pogo.comプロデューサーのMark Lackeyさん

日本にも住んでいた事があるというMarkさんは、アニメやゲームなどの日本の文化にも興味があり、日米でのゲームの違いなどについて面白い話しを沢山聞かせてくれました。日本のゲームとアメリカのゲームには大きな違いがあり、日本向けに作られたゲームがアメリカでヒットしたり、逆にアメリカのゲームが日本で人気になることはあっても、アメリカのゲーム会社が日本市場をターゲットに作ったゲームで成功するのは非常に難しいそうです。EAでもこれまでに、日本市場向けにアニメっぽいキャラクターを使ったゲームが逆にアメリカでヒットしたりと、日本市場はなかなか攻略が難しいようです。

アニメ風キャラクターで日本市場をねらった「ぼくシム」


また、最近ではiPhoneのApp Storeように、ゲームソフトもパッケージの流通からデジタル配信に移り変わって行く傾向があり、これまでの小売店や流通との関係を保ちながら大きな方向転換が迫られているそうです。今後は、ゲームソフトも映画やテレビ、ウエブなど他の様々なデジタルエンターテイメントとの間の境界が無くなり消費者のシェアを奪い合う構図が強くなっていくようです。

登録するだけで数百種類のゲームが遊べるpogo.com


2009年09月15日


新しいキャンパスに移ったfacebookの社員食堂にお邪魔してきました。

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facebookはパロアルトのダウンタウンに点在していた複数のオフィスを一カ所にまとめるために、今年ダウンタウンからは少し離れたCalifornia Ave沿いにあった、元HPのキャンパスに引っ越しました。その際にキッチンをシェフのデザインで一から作り上げ、メニューの内容も充実したと聞き、以前に前のカフェテリアを案内してくれたマークさんにお願いして、お邪魔させて貰いました。

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当日facebookを訪れてみると、入り口のレセプションにいきなり冷蔵庫があり、待っている間にコーラでもミネラルウォーターでも好きな物を勝手に取って飲んでね。という心遣い。間もなくマークさんが現れ、食堂に案内してくれました。食堂には、メインのキッチン直結のバイキングに加え、サラダバーコーナー、自分で作るサンドイッチコーナー、ドリンクコーナー、デザートコーナー、時刻は丁度12過ぎで多くの社員が行列を作っています。

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しかし、レジが無いためか行列はどんどん進みます。今日のメインはこちらの通り。9/11ということで、前菜からメインまで、ニューヨークの名店のシェフにちなんだメニューとなっています。せっかくなので、できるだけちょっとずつ沢山頂くことにしました。

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マークさんに紹介され、facebook唯一の日本人社員であるHiromiさんや、エンジニアのみなさんとテーブルを囲みました。皆さん、新キャンパスに移ってから食事はほぼ100%キャフェテリアを利用しており、確実に体重が増加しているとのこと。以前のオフィスはパロアルトのダウンタウンにあった事もあり、たまには外食をすることもあったが、新しいキャンパスになってからは、キャフェテリアのメニューが格段向上した上に、オフィスが住宅街にあるため、特別な用がない限り外食はほとんどしないそうです。社内こんな美味しい食事が無料で食べられるのですから当たり前ですね。太ったといっても、ファストフードの外食よりは健康にも良さそうなメニューです。ランチの他、ディナーや朝食も用意されているとのことで、若い独身社員には平日は三食を社内で済ませている人も多いとか。

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グーグルで問題になったような、家族や友人を連れて来る人が多すぎるとか、週末や家族の食料を大量にテイクアウトする人がいるというような事はありませんか?と聞いたところ、「みんな節度を守って利用しており、月間ゲスト人数を制限するというようなルールは今のことろ無いし必要とも思えない」とのこと。会社の規模がグーグルほど大きくないせいもあるかもしれません。

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シェフのみなさん。カメラを向けたらこちらが逆に撮られてしまいました。

食事の後、「屋上は行った?屋上も見ておいた方が良いよ」と言われたので、マークさんに連れて行ってもらいました。屋上では、夏の間は毎日バーベキューが行われており、キャフェテリアでの食事の代わりに屋上で青空のもとバーベキューを食べると言う選択肢もあるそうです。羨ましいですね。

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屋上バーベキューエリア

この日は、金曜日でfacebookでは、エンジニア達の間で「dress up Friday」というのがあるそうで、普通の会社だと「Casual Friday」という事で普段スーツで働いている人がカジュアルな格好で出勤したりしますが、その反対に普段カジュアルなエンジニア達が金曜日だけはスーツにネクタイで出勤してくるそうです。実際に、「あれ?営業の人?」というばっちり決めたエンジニア達をみかけました。と、いうかシリコンバレーでは営業でもネクタイにスーツってあまり見ませんよね。

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間仕切りの無い広いオフィスに机を並べる姿は日本風?

facebookのオフィスはHPが入っていた際は生産関係の施設だったそうで、間仕切りの無い広いフロアに、パーティションも無く机が並べられている様子は日本の会社のようで、シリコンバレーっぽくありません。社長のMark Zuckerberg氏(1984年生まれ現25歳)も、ガラスのパーティションはあるものの、社員と同じフロアの一角にオフィスを構えています。

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鏡張りの社長オフィス

Mark Zuckerberg氏といえば、オフィスの案内してもらっている際に、音楽ルームを見せてもらったところ、中で打ち合わせをしていた数名が出て行くのとすれ違いました。後で聞くとその中にMark Zuckerberg社長がいたとのこと。全然気がつかなかったです。残念。

facebookの旧オフィスを見学させてもらった際、オフィスの至る所の壁やドアに落書きアートがあったのが印象的で、引越しの後はどうなってしまったのか気になっていたのですが、全てでは無い物のちゃんとひっぺがして持って来ていました。パネルにして、新しいオフィスに飾られています。

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旧オフィスから持って来た落書きアート

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スナック&コーヒーコーナー、もちろん無料


2009年06月22日


昨日、三育学院で開催されたMACS Career & Education の原田誠さんによる「第五回はずさない進学セミナー」に参加してきました。テーマは先日のインタビューでも原田さんが強調していた、「いま、おこりつつある変化」についてです。

shingaku

セミナーの内容はUstreamでライブ中継されました。こちらで録画を見る事ができます。

元々アメリカでの大学受験を経験していない親に取っては、子供の最初の大学進学は未経験の事ばかりで情報収集が重要になりますが、現在は大学進学に関連する多くの事が目まぐるしく変化しているので、たとえこちらで育った方や、上のお子さんなどで大学進学を経験済みの方でも、最新の情報を常にアップデートすることが重要との事。

実際に、セミナーの内容を聞いてみると、ここ数年で大きく変わったこと、これからの数年で大きく変わることが沢山あり、これでは振り回される受験生にも同情してしまいます。

例えば、大学に進学する高校生が受験する共通テストである SATを取っても、2006年からSAT-I (reasoning Test) にwritingが加わったかと思うと、カリフォルニアの州立大学では2012年からSAT-II (Subject Test)のスコアの提出を不要としたり。また、一部の大学ではSATのスコア自体を見なくなっている傾向もあるということです。

テストのスコアについての見方が変わっているのは、大学がスコアだけでは分からない、生徒のポテンシャルを重視しようという動きがあるためで、スコアで足切りをして上位の生徒だけを合格させていたこれまでのやり方とは異なり、成績よりも大学が求めている人材、大学に合った人材、大学で実績を残すポテンシャルを持っている人材を積極的に取りに行こうという動きが強まっているとのこと。

大学がこうした生徒を優先するのは今始まった事ではなく、「大学が求める生徒が変わったのではなく、それを見極めるための方法が変わりつつある」という事です。

現在、こうした大学の動きと、大学に自分をアピールしたい生徒をつなぐための、「大学進学用SNS」なるものが登場し既に600校を超える大学が登録、高校生と大学のアドミッションを積極的に結ぶオンラインのネットワーキングが始まっています。
College%20Search%20-%20College%20Admissions%20-%20College%20and%20University%20Admissions%20-%20Zinch%20-%20Home
College Search - College Admissions - College and University Admissions - Zinch - Home

また、最近の変化ではありませんが、我々日本からきた保護者が持っている大きな誤解として、「有名校に入れば大丈夫」という考え方があります。上記の通り、アメリカでは大学側も生徒側も「相性」を重用しするため、万人に取って「良い大学」といものは存在しません。自分のやりたいこと、進みたい道、勉強のスタイル、性格など総合的にみて、学生が最も力を発揮でき、多くを学べるのが、その人に取っての「良い大学」となります。
アメリカでは就職時に、「有名校卒業」であることはあまり意味を持ちません。それよりも、大学で何を学び何を成し遂げたかが重視されるので、地方の無名校だから就職に不利ということはありません。

そうした意味でも、現在大幅な予算削減が、学部の人件費削減、授業料増加などに直接繋がっている州立大学は、例え有名校であっても、良い選択とは限らないケースがあります。

この用に、その後の人生を左右する大学の選択は、簡単ではありませんが、保護者が子供と一緒になって、多くの大学を調べ、訪問し、選択することがとても大切という事です。

もう一つ、セミナーで聞いて面白かったのが、アメリカには日本のような「大学浪人」というものが基本的に存在しないということです。というのは、スコアよりも実績と人格重視のアドミッションでは、一年浪人したからといって条件が良くなる事が少ないため、希望の大学に入れなかった学生は、コミュニティカレッジなどに進み、そこから2年生、3年生に編入を狙う事はあっても、一年間浪人して、フレッシュマンにもう一度チャレンジするというケースはまず見られないそうです。
もちろん、海外にボランティアなどの経験を積みに行って、その実績を活かしてフレッシュマンを受けるというのはアリだそうです。

関連記事:インタビュー:アメリカでの大学進学の現状


2009年06月04日


久しぶりの社員食堂、今回はFileMaker社にお邪魔しました。FileMakerはAppleの百パーセント出資の子会社で、元Claris。MacやWindows、iPhoneなどで動くデータベースソフト、FileMakerやBentoの開発元です。

案内してくださったのは、同社でローカリゼーションエンジニアをされているTakaさんです。Takaさんからは、先日のファニメコンの記事を見ていて編集長が分からなかったコスプレ(キャプテンコマンドー)をメールで教えて頂いたのがきっかけで知り合い、食堂にお邪魔させて頂く事になりました。というわけで、今回の社員食堂は食堂の取材よりオタク談義で盛り上がったランチでした。

FileMakerはサンタクララのグレートアメリカに近い場所に本社ビルを持ち、約300人が働いています。三階分の吹き抜けを水が流れ落ちるオブジェクトがあったり、商品パッケージのポスターや置物があったり明るく開放的なイメージのオフィスでした。ランチは三階の一角にあり、小規模ながら業者は評判の良いボナペティが入っています。屋内の他にバルコニーでも食事が取れるようになっています。


この食堂の自慢は、シェフがその場でグリルしてくれるグリルコーナーなのですが、Takaさんによると残念ながらグリルに時間がかかり過ぎるためにお昼時は長蛇の列ができてしまい、並ぶのが嫌で外食やお弁当にしている人も多いとか。Takaさんも普段は愛妻弁当にする事が多いそうです。

今回は早めの時間に待ち合わせたので食堂はまだがら空き状態。編集長はThai Peanut, Veggie & Tofu Stir Fry with Egg Roll (翻訳:「野菜炒めかけライスと春巻き」)、TakaさんはGarden Burger w/ Grilled Spinach, Mushroom & Blue Cheese(ハンバーガー)を選びました。確かに待っている人がいないとはいえ、こんなに丁寧に一食ずつ作っていていいの、というくらいじっくり時間をかけて調理が完了。値段はそれぞれ $4.50で、アイスティーは無料だったのでお昼としてはかなり割安感があります。 せっかくなので、外のバルコニーで頂くことにしました。


Takaさんは、高校生の時に交換留学でアメリカに来て、そのまま日本に帰らず今日に至るというご経歴の持ち主で、一年の予定の交換留学の後、私立高校に転校し大学に進学、インターンを経てFileMakerでローカリゼーションの職についたそうです。元々ビデオゲームが好きだったため、ゲーム系の雑誌のライターを目指しており、技術系の翻訳の業務を希望して履歴書を出したところ当時急成長していたエンジニア部門から引き抜かれ、ローカリゼーションの技術者となり、さらFileMakerから好条件で引き抜かれ現在に至るそうです。転職の際には、「ワールドカップの日韓杯では、応援のため一ヶ月近く会社を休んで日本に帰るが良いか?」という条件を出して、快くOKを貰えたので転職を決めたとか。

その後、アメリカで当時サンディエゴに住んでいた現在の奥様と知り合い遠距離婚。現在は2歳になるお嬢様がいらっしゃるそうです。

実は、今回お邪魔した最初の目的は、Takaさんが所蔵するCONTINUEという、ゲームとアニメ系の情報雑誌のバックナンバーを娘に頂けるというので、それを受け取る事でした。読んでみるまで知らなかったのですが、この雑誌、毎回ゲームやアニメに焦点をあててその制作に関わった色々な人への突っ込んだインタビューが掲載されていてとても面白い物です。貴重な本をたくさんありがとうございました。


というわけで、お昼はかなり予定時間をオーバーして、懐かしのゲームから最近のアニメまでおおいに盛り上がった後、Takaさんのキュービクルを見学させて頂きました。さすがに、オフィスに飾られたおもちゃ類がいい味だしています。なんと、Takaさんは、「これじゃないロボ」で有名なザリガニワークスの社長さんと幼なじみで一部の製品については英訳のアドバイスなどもされているそうです。写真は娘さんの誕生祝いに贈られたというた「これじゃないロボ:ピンク」。

今日のメニュー
Thai Peanut, Veggie & Tofu Stir Fry with Egg Roll $4.50
Iced Tea $0

ごちそうさまでした。



2009年02月13日


社員食堂訪問シリーズの第25回は、パロアルトのfacebook本社のキャフェテリアにお邪魔してきました。

あまり知られてはいませんが、facebookの社員食堂は外部の食堂業者を利用しない自社運営で、朝昼晩と自由利用できて無料です。当然キャフェテリアにレジはなく好きなメニューを好きなだけプレートに乗せて、冷蔵庫から好きなドリンクを取って好きなだけ食べる事が出来ます。パロアルトのダウンタウンという立地からキャフェテリアは無いものと勝手に想像していたのですが、美味しいキャフェテリアがあると聞いて早速お邪魔してきました。

フェイスブックのメインビル

facebookのキャンパスはパロアルトのダウンタウン、ユニバーシティアベニュー沿いにあります。急成長した会社だけあり、当初入っていたビルには収まりきらずに現在は周辺のビルに各部門が点在している状態で、キャフェテリアもユニバーシティアベニューのはずれの、ビルの三つのフロアを利用して独立して存在しています。昼時になると、ダウンタウンの各所にあるfacebookのオフィスから社員達がこの建物に続々と集まり、ランチの一時を過ごしています。


キャフェテリアのビルは、外から見るとお店の看板もfacebookの看板も出ておらず、ガラス張りのため隠れ家レストランかと間違って入ってくる人がいるため、出入り口は社員証でロックされている他、セキュリティが配備されています。




今回、食堂を案内してくれたソフトウエアエンジニアのマークさんに連れられてコンクリ打ちっぱなしのおしゃれなキャフェテリアに入ると、厨房は地下一階にあります。ここで、トレーにプレートを乗せて、好きなメニューを選んで行く分けですが、あまり選択肢は広くありません。この日は、各種ピザ、五穀米、白米、炒麺、ラムのシチュー、ジャガイモの煮転がし(みたいの)などがあった他、メインはなんとローストラビット。うさぎちゃんです。まさか、facebookで初めてのうさぎを食べる事になると思いませんでした。

この他、デザートにはモンゴリアン・ライスプリンと、大企業や食堂業者ではさすがに味会う事が出来なそうななかなか挑戦的というかユニークなメニューです。またコーヒーやドリンク、サラダバーもあり、こちらももちろん無料です。キャフェテリアの他にも各オフィスにミニキッチンがあり、仕事中のおやつや夜食は、キャフェテリアまでこなくても済むようになっています。

キャフェテリアは一日三食を提供しており、その気になればfacebook社員はウィークディは食費要らず過ごす事が可能です。特に、若い社員は深夜まで残業する人も多くディナータイムもかなり利用率が高いとのこと。また、ハッピーアワーにはアルコールも出されます。マークさんにどれくらいの頻度でキャフェを利用するか聞いたところ、
「出社すると、ついキャフェを利用し、美味しい上に無料で食べ放題ということもあって、つい食べ過ぎてしまうのでできるだけホームオフィスから働くようにしている」とのことでした。グーグルに就職すると15パウンド太るという「グーグル15」と同じ贅沢な悩みですね。でも、パロアルトダウンタウンですから食事をするところは周りにいくらでもあるわけですが、外で食べればチップだなんだで15ドル前後は軽く行ってしまうことを考えると、ありがたい話です。


食事の後、マークさんに点在するいくつかのオフィス内を案内してもらいました。facebookのメインオフィスに入って驚くのは、社内の壁からドアから、階段まで至る所に描かれたアートです。これは、グラフィティアーティストであるDavid Choeさんを雇って、夜間の人の少ない時間を使って一ヶ月以上に渡って仕上げてもらったそうですが、ニューヨークの地下鉄かというほど、至る所にスプレーでの落書き(失礼、もとい)アートがあり、エレベーターのドアなんて落書きに埋もれて開くまで分からない程です。


メインビルの非常階段のドア


エレベータ


この他、オフィスの中には、rainbow roomと名付けられたゲームルームがあり、最新のゲームやドラムセット、エレキギターなどの楽器が置かれており、仕事で疲れたらゲームやバンド演奏でストレスが解消できるようです。




もうすぐ、パロアルトのダウンタウンを離れ、元HPのキャンパスに入る予定のfacebookですが、できればこのオフィスの雰囲気とグラフィティアートは引越し先でも続けてほしいですね。若干24歳の若きMark Zuckerberg社長が率い、学生や若者達を中心に広まっているfacebookですから、まず中の人から楽しまなければいけません。

本日のメニュー
ローストラビット
ラムシチュー
五穀米
モンゴリアンライスプリン

コーヒー

全部無料

ごちそうさまでした

これまでにお邪魔した社員食堂


2009年01月07日


さて、グーグルジャパンの社員食堂を訪問することができただけでも、今回の出張の高い航空券代はペイしたと喜んでいたころですが、実は今回はもう一社、あの日本の社員食堂におじゃましてきました。

その会社とは、日本人ならオンラインショッピングで一度は必ずお世話になったことがある、あの楽天です。

楽天は昨年本社を品川シーサイドの楽天タワーに移してから、グーグルに対抗して社員食堂を無料化したと聞き、是非訪問したいと思っていたところ、運良く中の人をご紹介頂き、カフェテリア委員会のご担当者高橋佳代子さんとファシリティ管理グループの小川史行さんにご案内いただけるという機会に恵まれました。

当日は、上記の社員食堂のご担当者様に加え、楽天の取締役自ら食堂をご案内いただくという、超VIP待遇。あー、地方版やっててよかった。持つべきものは人脈ですね。


グッドデザイン賞に選ばれた巨大スクリーンのある受付

当日、グッドデザイン賞にも選ばれたという楽天の受付前でシリコンバレーからやってきた社員食堂探検隊の面々と集合し、おのぼりさんよろしく写真を撮りまくっていると、取締役常務執行役員の安武弘晃さんが直々に迎えに来てくださいました。

社内に入るのと、食堂に入るのと、食堂でゲスト待遇でランチを頂くために全部で三つの入館証を胸に、楽天タワー入りです。エレベータの中には三木谷社長サイン入りの社訓のポスター。エレベータを降りると、フロアには真紅のカーペット。すでにここはふつうの日本の会社ではないことを感じさせます。

楽天は2007年の9月に六本木のオフィスから品川シーサイドの24階建ての現オフィスに移っています。この新しいオフィスに移る際に、三木谷社長はグーグルを越える社員食堂を作ることを指示、これを受けて社員有志によるカフェテリア委員会が結成されたのでした。


毎日手書きの献立表には、カロリーや塩分などの成分情報から、美肌お勧めメユーまで


カフェテリア委員会は、全社員から自発的に集まった10数人によるグループで、週に一回、一時間ほどのミーティングを持ち、社員食堂の運用やメニューなどで改善すべき点がないか話し合いをします。委員会の意見や方針は選任のフードコーディネータを通して食堂を運営する西洋フーズコンパスグループのスタッフに伝えられます。

若い社員の多い楽天では、一日三食を近所のコンビニやレストランで済ます人も多く、社員の健康管理のためにも美味しくて、バランスのとれたメニューを無料で提供することは大きな意味を持っています。

カフェテリア委員会のメンバーで今回案内をしてくれた、高橋佳代子さんは、栄養士と調理師の免許を持ち、食と健康に強い関心があり、委員会の中でも積極的にメニューや食材の選定など中心になって活動されています。


パスタコーナー


TULLY'S のコーヒー(有料)


カレーは中村屋


だしからしっかり取っているという自慢のそばコーナー

社員食堂には、麺類、カレー、すし、丼物などのコーナーの他に、今日のスペシャル、お総菜やサラダのバフェ、ドリンクコーナーなど、毎日食べても飽きがこず、栄養のバランスも考慮されたメニューが並んでいます。


デニッシュ、お菓子(有料)

もちろん、選択肢が広い分、なにを選ぶかで栄養バランス異なってきますが、できるだけ野菜が取りやすいように、お総菜コーナーには調理野菜と生野菜が必ず並ぶなど配慮されています。

無料と言っても、限られた予算のなかでは贅沢はできないので、有料の高級食材メニューも用意されています。この日は新鮮な海の幸を豊富に使ったちらし寿司が700円出だされていました。


お寿司コーナー。高級食材は有料

社員食堂を無料化することで、最初に心配されたのは「食べ過ぎによる体重増加」です。実際に、無料化直後は、ラーメンとカレー、定食とうどんなど、食べきれないほどの量を取る人も見られたそうですが、しばらくしてみると逆に、「自分で食べられる分だけを取ることができる」ため、「残すのがもったいないからつい全部食べる」という食べ方が減り、食事量を管理しやすいと女子社員にも好評だそうです。

カフェテリア委員会の努力により、社員食堂は大好評で、社員の利用率も高くランチ時には2000人を越える社員が食堂を利用するそうです。その中には当然三木谷社長も含まれ、昼時には社員に混ざって食堂の列に並ぶ社長の姿がみられるそうです。

また、早起きの社員や残業する社員のために食堂は始業前と夜間も営業しています。朝食と夕食は有料ですが、それぞれ平均で150人、400人の利用者があるそうです。また、夕食時には生ビールや焼酎も出されるので、ちょっとしたプロジェクトの打ち上げなら、ここで済ませてしまうことができます。


編集長的にはこれさえあればOK


今回頂いたランチの写真を掲載します。編集長を含め、一緒に食事したみなさんの取り合わせをそれぞれ撮影させて貰いました。残念なら食堂の入った時間が遅かったため、一口ステーキや鮭のシチューは売り切れでしたが、DELIコーナーから「本日の栄養士バランスセット」を参考に盛りつけてみました。その他、スパゲティや親子丼など、外に出て食事するのと同等の広い選択肢がありながら、栄養や健康に配慮された食事ができるのは嬉しいですね。


栄養士が選んだ本日のお勧め取り合わせ


パスタとサラダ


親子丼、ロールキャベツ、サラダ


親子丼とサラダ

さて、食事の後に社内の施設を案内して頂きました。

びっくりしたのは、こちらです。楽天には毎週行われる全社朝礼のためにビルのフロア一つをまるごと朝礼専用のスペースとして確保されています。ここには、一角にステージがあり、あとはひたすら3000を超えるパイプ椅子が並べられています。フロアの中心にエレベータホールがあり、直接ステージが見えない死角ができてしまうため、各所にプロジェクタースクリーンが用意されています。毎週の朝礼は各プロジェクトの進捗状況の報告等の他、三木谷社長からの訓示があります。多忙な三木谷社長ですが、出張先からでも朝礼だけは欠かさないようにしているそうで、ちょうどこの週はニューヨークからのライブ朝礼が行われたそうです。


どこまでも続く椅子椅子椅子(写真はフロアのほんの一角)

また、別のフロアには社員専用のフィットネスジムがありました。こちらも三木谷社長による、事業として利益を出すようにという指示により有料会員制で運営されています。ジムにはトレーニングマシンの他、マッサージ、サウナ、エクセサイズジムなど設備も充実。マシンは特注による楽天カラーの赤仕様となっていました。


赤いマシーンは、楽天仕様


本日のメニュー:無料

無料:ごちそうさまでした。


これまでにお邪魔した社員食堂:





2009年01月06日


日本へ行く用事があったので、この機会に前から訪問したかったグーグルの日本法人の社員食堂にお邪魔してきました。グーグルの日本本社といえば、渋谷のセ ルリアンタワーです。

今回は、別件でお邪魔したついでに、日本のグーグルでリクルータをしていらっしゃる千谷 裕子さん(美人!)にお願いして食堂を訪問させて頂きました。

ちなみに編集長、訪問当日の午前中に人間ドックがバッティングしてしまい、あわやグーグルの社員食堂訪問のチャンスを逃すか、といったところだったのですが、目をつぶってバリウム一気飲みして口の周りに白い粉を付けたまま病院から走って到着、なんとかランチタイムに駆け込みで間に合いました。

グーグルはご存知の通り、美味しくて無料の社員食堂で有名ですが、ここセルリアンタワーでは、ビル全体で火器の使用が禁止されているため、食堂での調理が残念ながらできません。そこで、外部からケータリングで持ち込まれたメニューがビュッフェ形式で食堂で出されます。

食堂は社員数に対してやや小さめで、できるだけ多くの社員の方が利用できるようにテーブルと椅子がぎっしり詰まっています。渋谷ですから、一歩外に出れば 食事をするところには困らない環境にありますが、それでも無料でかつ美味しいランチが社内で食べられるとあって、内勤の社員の方による利用率は高いようです。


テーブルの上には、サラダから揚げ物、麺類、ご飯類、お味噌汁、そしてこの日のメインはとりもも肉とピーマンのトーチ炒め(90kcal)に、厚揚げとチンゲン菜の煮物(72kcal)。どれも美味しそうです。アメリカの社員食堂には望めない、日本人の心のメニューですね。無料なんだから、足りなければまた取りに戻れば良いと知りつつ、つい山盛りにしてしまいます。特に編集長は人間ドックのために昨夜からバリウム以外何も腹に入れていないので、つい取り過ぎてしまいます。やっぱり日本人はご飯にみそ汁ですよね。
あーあ、メタボ警告されたばかりなのにしっかり完食してしまいました。

グーグルの社員食堂には、この他ドリンクの自動販売機(もちろん無料!)や、スナックなども用意されていました。そして、食堂の片隅に編集長が見つけたのは・・・。
カラオケマシーン!

さらに、受付横のミーティングスペースにはたたみルームも。

マウンテンビューのグーグルで見た一風変わった社風が、日本の文化の中ではどう受け入れられ、ローカライズされているのかとても興味があったのですが、想像以上に違和感無く取り入れられていました。それには、社員の皆さんの平均年 齢が若く、日本のオフィスに必ずいそうな「頭の固い上司」風の人が全く見かけられなかったせいもあるかもしれません。

今日のメニュー:

ご飯
わかめのお味噌汁
やきそば
厚揚げ
春巻き
サラダ二種類
とりもも肉とピーマンのトーチ炒め
ウーロン茶
お菓子

全て無料。
ごちそうさまでした。



2008年10月19日



San BrunoのYouTube新本社ビル

今回はYouTubeの本社に美人秘書と二人でお邪魔してきました。YouTubeといえば、さすがに知らないという人はいないと思います。知っているばかりではなく、かなりお世話になっている人も多いのではないでしょうか。我が家でもおもしろビデオから最新ニュースまで、家族全員で利用させていただいています。今回はこれまでの社員食堂訪問の中で初めて、娘達にうらやましがられました。それだけ、幅広い年齢層で良いブランドイメージを持っているサービスということだと思います。

YouTubeと言えば2005年2月に当時PayPalの従業員だったエンジニア二人が思いつきで起業、セコイヤキャピタルからの投資を受けて成長し、2006年10月にはGoogleに16億ドルで買収されるという、シリコンバレーエンジニアが夢に見るサクセスストーリーの王道を行っている企業です。わずか4年前には存在しなかったなんで、信じられませんね。今ではビデオ共有サイトは雨後のタケノコの用に乱立していますが、YouTubeはいまだに圧倒的なユーザ数を誇っています。

そんなYouTubeを案内してくれたのは、同社のエンジニア福澤伴子さんです。福澤さんとは某パーティで初めてお会いし、YouTubeにお勤めされていると聞いて速攻で取材を申し込んだところ快諾していただきました。
当日もお忙しい中、ご協力頂きありがとうございました。福澤さんはアメリカで大学院を卒業の後、そのまま残ってアメリカでソフトウエアエンジニアとして働いており、今年の8月からGoogle社員としてSan BrunoのYouTubeオフィスでバックエンド関連を担当されています。
YouTubeは現在はGoogleの傘下にあるため、YouTube社員=Google社員というわけで福澤さんも難関と有名なGoogleの入社試験と面接をクリアして採用され、YouTubeグループに配属が決まったそうです。格好いいです。


食堂外のテーブルのパラソルもYouTubeカラーの赤と白

さて、YouTubeのキャンパスですが、設立当初のSan Mateoのオフィスから、Google 買収直後にサンフランシスコ空港にほど近いSan Brunoに引っ越し、今年に入って同じSan BrunoのCherry Avenueで道を挟んだ反対側の建物に移っています。お目当ての社員食堂「evolution」はこの一階部分にあり、中庭に連結していて天気の良い日には外でランチを頂く事が出来るようになっています。現在このオフィスに勤務するのは約300人で、食堂も300人を賄うのにちょうど良いコンパクトなサイズ。
運営はGoogle本社と同じボナペティ社が入っていますので味も素材も本社に退けをとりません。規模が小さいために、メニューの選択肢は少ないのですが、毎日テーマにそったメインコースの他に、サラダバー、スープバー、食後のデザートにアイスクリームやケーキまでが用意され、Googleと同じですべて食べ放題無料です。


本日のランチ。これだけ取ってもモチロンただ。お代わり自由。

今日のメインは、チキンのシャワルマ、ラムとビーフのコッファでした。編集長は、これに野菜炒めとライス、ミネストローネスープ、シーザースサラダ、ラズベリーのアイスクリームを追加。明らかに食い過ぎです。
福澤さんは基本的には毎日社員食堂を利用し、飽きてくるとマウンテンビューのGoogle本社キャンパスに行くそうで、羨ましい限りです。本社にはYouTubeグループのメンバーのための出張オフィスがあり、どちらに出勤しても、何時に出勤しても、しなくても構わないとのこと。
「やることさちゃんとやっていれば、どこで、いつ働いてもあまりうるさく言われない」というフレキシブルな出勤体系はシリコンバレーのエンジニアにとっては一般的ですが、GoogleとYouTubeの社員食堂の好きな方で毎日食事が出来るなんて矢張り羨ましく感じてしまいます。


中庭のバスケットボールコートの壁にはYouTubeのペイントが、絵心のある社員の仕業?

YouTubeのオフィス内は赤と白を基調としたインテリアで統一されており、天井の高いオフィスの所々で床に埋め込まれたプランターから木がが生えていたり、広いオフィスの移動用にスクーターやキックボード、自転車などがそこら中に置かれているそうです。また、地下のジムには25mx3コースのプールまであるとのこと。世界中から集めた優秀なエンジニアにこうした環境を与え、うまい飯を喰わせたらいいものが出来ない筈が無いといったところでしょうか。


お土産はお約束のGoogleアイス

最近では、ニコニコ動画のようにビデオに吹き出しのようなコメントをつけたり、コメントをクリックする事で次に再生するビデオを選択できるというインタラクティブな機能も加わり、ますます面白くなってゆくYouTube。
毎分ごとに十何時間分というビデオがアップロードされ、その数は1億本に近く一日にYouTubeのビデオが占有するインターネットのバンド帯域は2001年のインターネット全体の帯域に相当し、一日百万ドルのコストがかかっていると言われています。運営するだけでこれだけのコストがかかる上に、動画の著作権者との法的な問題も耐えないYouTube、今後の黒字化も含めてどう成長してゆくのかとても楽しみです。

社員食堂シリーズバックナンバー



2008年09月27日


アメリカ人の子供たちが将来働きたい日系企業のナンバーワン(当社調査)、VIZ Mediaという会社をご存知ですか?
もし、ご存知なかったらお子さんに聞いてみてください。お子さんの部屋の本棚にはきっとVIZ Mediaの製品がたくさん並んでいるはずです。



英語でAnimeとCartoon、MangaとComicの違いを知っていますか?
どちらも前者が日本産だけに与えられる呼称となっています。
いくらアメリカのアニメーションが日本風にしても、それは所詮 Anime Wannabeであって、「Anime」と呼ばれるのは日本で作られたものだけなのです。コミックも同様、日本のコミックだけがMangaと呼ばれています。

VIZ Mediaは日本のマンガやアニメをアメリカを世界に向けてローカライズして販売している会社です。
日本で生まれ、アメリカの子供達に大人気のNARUTOやBLEACHなどのアニメやマンガが英語で楽しめるのは、VIZ Mediaのおかげです。
でも、その裏側には文化と習慣の違いからくる様々なチャレンジがあったのでした。

VIZ Mediaは元々は日本の小学館の子会社であったVIZに集英社と小学館プロダクションが出資した会社で、コミックの販売、英語版アニメの供給、キャラクター商品のライセンスなどを中心に、売上高は100億円。
ポケモンやドラゴンボールから火がついた日本のマンガ、アニメブームの時流にのり急成長している会社です。

小学館といえば少年サンデー、ちゃお、コロコロコミック、集英社といえば少年ジャンプ、りぼんなど、日本の主要なマンガを押さえているだけでなく、VIZ Mediaではその他の出版社のコミックのローカライズも手がけています。
同社のアメリカ版少女マンガ雑誌「Shojo Beat」では、集英社、小学館、白泉社のマンガが一冊の雑誌にまとめられているという、日本ではありえない贅沢な雑誌となっています。



サンノゼで開かれたアニメコンベンション、FanimeConで日本のアニメやゲームのキャラクターにコスプレするアメリカのファン

ここ数年で日本のマンガのアメリカでの認知度は急激に高まり、当初はアメリカ市場に受け入れられるために様々な工夫と歩み寄りが必要だったのが、今では逆に「日本流」をそのまま持ち込むことがファンから求められている状況だそうです。
たとえば日本のマンガは右綴じで開いたページを右から左に読み進みますが、アメリカではこうした読み方はなかったので最初は日本のマンガを左右逆転して無理やり左綴じにしてました。このため、登場人物がすべて左利きになったり、コマ割が不自然になってしまったりと苦労されていたそうです。
しかし今では日本のマンガは反対から読むということが定着し、書店でも間違って背表紙を表に陳列されるようなことも無くなったそうです。

写真は、右綴じが浸透するまで、間違って背表紙を表に陳列され場合を考慮して両面に表紙を印刷していた当時のShone Jump。



フキダシの中だけではなく、絵の中に書き込まれた擬音も英語化

またこれまでは、マンガの中で日本特有のネタやギャグなどはできるだけアメリカで通じるように苦労して翻訳していたものが、最近ではマンガを通じて日本の文化を知ってもらうよう、あえてそのまま直訳するケースも増えているそうです。
それでも、アメリカと比べて日本のマンガは暴力や性的描写、喫煙シーンなどが多いため、本来低年齢層をターゲットにしたコミックでも、13歳以上または大人向けというレーティングをせざるを得ないケースが多く、「なぜこのシーンでタバコを出すか!」と悔しい思いをすることも多いとか。
VIZ ではこうした状況を踏まえ、日本の出版社、原作者にグローバル展開を考慮した作品作りを提案しているそうです。確かに、日本の文化はそのまま受け入れて知ってほしいと思う反面、たまたま主人公がタバコを吸っていたせいで、小学生向けのマンガがティーン向けとして分別されてしまうのは残念な気がします。

現在アメリカでは空前のマンガブーム、と言いたい所ですが、マンガ市場の規模を日本と比較すると日本が5000億円近くあるのに対して米国の市場はまだまだ260億円程度。人気作品の初版が100万部も刷られる日本に対して、アメリカでこれまで最も売れたマンガがNARUTOの第一巻でやっと30万部だそうです。
子供から大人まで幅広い層がマンガを読む日本と異なり、まだまだ限られた年齢層の一部のファンだけにしか浸透していない状態です。
VIZ Mediaでは今後、アメリカでのマンガ読者層を拡大してゆくために低年層向けのマンガを幼児書のコーナーにおいて貰ったり、大人も楽しめるマンガを積極的にフィーチャーして行きたいとのこと。

また、日本のマンガと比較して発行部数が少ないせいでどうしても割高になってしまうマンガにできるだけ多くの人が触れて貰えるよう、シュリンクラップはせずに立ち読みを推奨、図書館や学校での回し読みにも絶えられるよう、ハードカバー版なども用意しているそうです。
実際に、先進国の中では識字率の低いアメリカでは、「子供たちに文字を読む習慣がつくのなら」とマンガを学校で推奨しているケースもあるそうです。マンガばかり読む子供の本離れが問題になっている日本とはずいぶん違いますね。


VIZ Mediaではマンガの最新のストーリーをいち早く読める「SHONEN JUMP」と「SHOJO BEAT」の二つの月刊マンガ雑誌を発行しています。
雑誌の読者は最初にアニメで作品に出会い→原作のマンガを読むようになり→最新作を読むために雑誌を購入するというパターンが多いそうで、これは雑誌で最初に読んで→マンガを買い→アニメ化されたものをテレビで見るという日本のケースとはまったく逆になっています。

そして、日本のアニメとの最初の出会いとして急増しているのがYouTubeなどの動画サイトです。海外のアニメファンを一気に増加させたのは、こうした動画サイトで日本のアニメが気軽に見れるようになったことが大きな理由のの一つになっています。
こうした動画サイトでは、日本で放映されたアニメを個人のファンが「Fan Sub」と呼ばれる字幕をつけてアップロードしているケースが多く、中にはアメリカではまだ放送されていないものや、放送される予定もない物も多く、正規に翻訳配信を行っているVIZ Mediaのような会社を悩ませています。

VIZ Mediaでは、こうした動画サイトがアニメ、マンガファンを増やしているという現実も認めた上で、一方的に押し潰すようなことはせず、まず「こちらが本物です」と言える正規版を用意することが大事だと考えています。
そのためには、より多くの作品をできるだけ早くアメリカで見ることができるように、iTunesなどの動画配信サービスを積極的に利用してゆくそうです。iTunesにはこの7月から新たにAnimationというカテゴリが追加され、現在NARUTO、DEATH NOTE、BLEACHがダウンロードできるようになっています。

iTunesでは、BLEACHが一話1ドル99セントでダウンロードできる。

スピードといえば、ファンが勝手にアップロードするのとは違い、VIZ Mediaでは内容を吟味し、アメリカの文化や規制を考慮して翻訳を行っているため、どうしても日本での放映、発売から時間がかかってしまっています。アメリカの基準と比べると、日本のアニメやマンガには暴力シーン、性的なシーン、喫煙、飲酒などのシーンが多く、こうした場面はカットするか、他の内容に置き換える必要があるからです。
特に連載ものでは、上記の理由だけでエピソードをカットすることができないため、版元や場合によっては原作者に連絡して、部分的に書き換えなどの対応を行っています。
日本でも低年齢の残酷な犯罪が起きるたびに、アニメやマンガ、ゲームの影響だとして規制を強める意見が出ますが、せっかくアメリカで流行っている日本のアニメ、マンガにつまらない理由でネガティブなイメージがつかないように、厳しく管理しているわけです。

VIZ Mediaでは、サンフランシスコの本社に170名が勤務する他、ビバリーヒルズには映画会社に原作を持ち込むためのオフィス、ニューヨークにデザインオフィス、フランスにも現地法人を持つそうです。
ビバリーヒルズでは、まだ公表することはできないそうですが、あっと驚く日本の原作の映画化の話などが進んでいるとのこと。楽しみですね。


今回はVIZ Mediaでシニア・バイスプレジデントを務める漢城まどかさんに、お忙しいなか社内の案内とインタビューにご協力頂きました。
まどかさんは自らも「別マ」世代でマンガやアニメが大好きな方。アメリカのファンを大切にしつつ、手塚治虫作品などを始めとする大人向けの素晴らしいマンガなど日本のアニメ、マンガ文化を正しくアメリカに広めていこうという強い熱意を感じさせる笑顔が素敵な魅力的な人でした。
そして、元々映画館だった建物を改造したというVIZ Mediaの社屋には、アニメやマンガが大好きで、それを広める仕事を楽しんでいる若いスタッフの熱気がありました。



日本ではオタクというとネガティブなイメージがありますが、すでに英語化している「OTAKU」には陰湿なイメージはなく、アニメ、マンガに代表される趣味を極めた人という意味合いが強いようです。
こうしたアーリーアダプタでもあるOTAKUの皆さんのおかげで、今アメリカの子供たちから若い大人まで多くの人が日本のマンガやアニメに夢中になっています。
実際に各地の公立高校で第二外国語に日本語を選ぶ生徒が増えているのも、アニメ・マンガ文化の影響が大きいことは間違いありません。
アメリカで子供を育てている我々にとって、アニメやマンガのおかげで子供たちが自国の文化に興味を持ち、また自分の母国から来たアニメやマンガに他の国の友人たちが夢中になっていることを誇りに感じさせることができているということは素晴らしいと思います。
我々日本人は、アニメやマンガを日本が世界に誇る文化として認め、この業界に携わる人を支えて、育ててゆく事にもっと力を入れてゆくべきだと思います。

日本では、まだマンガ家やアニメ製作などに関わる人たちの待遇は決して良いとは言えない状況だと聞きます。それでも、この業界で働く人たちはアニメやマンガが大好きで、良いものを作るために一生懸命がんばっています。
いまの日本のアニメやマンガが世界に通用する素晴らしい品質を保っているのは、こうした業界で働く人の熱意と情熱に支えられているのです。
日本がこのままでいたら、いずれアニメやマンガの発信地は日本から韓国や中国に移ってゆくのではないでしょうか。日本政府は狂言や歌舞伎などの伝統芸能を守るのと同じように、いや、それ以上に、アニメ、マンガ文化の成育と伝承に力を入れて行くべだと、強く再認識したオタクカミングアウトの編集長でした。

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2008年08月13日


そういえば先日、ノートン先生の会社のマウンテンビューのキャンパスで食事をする機会があったのですが、取材しなかったので写真だけ上げておきます。オイシカッタですよ!

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2008年06月30日


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サンノゼのマーキュリーニュース本社で開かれた、CopyCampに参加してきました。CopyCampは今回が初めての企画で、ソフトウエア業界のFooCampやBarCampのような参加者全員がパネルとなるオープンなディスカッションの場をジャーナリズムでもできないかという試みです。参加したのは、こちらのリストにあるメンバープラスアルファの約40名。6年間地方版をやっている編集長としては普段お世話になっている、マーキュリーニュースのEditorやReporterのみなさんに会えるだけでも感激なのに、午前10時から午後2時までみっちりディスカッションで意見を交換することができ、非常に有意義な一日でした。

これといったテーマは絞らずに、ディスカッションの中から自然と生まれてきたテーマについて、小さなグループに分かれて、突っ込んだ議論を交わした後、また大グループに戻ってその結果を報告、全員で語り合うといった段取りで進められ、色々なバッググラウンドから集まった人が、建設的に意見をぶつけ合い、会議が終わる頃には、地元紙としてのマーキュリーニュースのこれから向かうべき方向性について、形が見えてきました。

私の参加したグループでは、多くの人種の交じり合うこの地域で、いかに新聞が偏り無く各コミュニティーの/に記事を伝えてゆくか、どういった形で読者と新聞の双方向の情報交換、読者同士の横の情報交換の場を提供できるのか、するべきなのか、について話合いました。結果として、ブログやフォーラムなどネットの活用がやはり欠かせないものの、読者のなかには印刷された誌面だけを見る人も多く、ネットで吸い上げた情報をどう、印刷誌面に反映してゆくかなども検討が必要などと意見しました。

また、同じ国の出身者でも、ビザ滞在、永住、市民権など滞在ステータスによって、生活や興味の対象が大きく異なる場合もあり、ナショナリティーでコミュニティをひとくくりにするのは正しく無い場合もあることなどについては、インドや中国など他の国でも同様であることを確認しました。

最後には、必ずフォローアップも兼ねて近々第二回を開催しようということでお開きになりましたが、こうして読者やコミュニティの声を生で聞くために土曜日のオフィスを開放するマーキュリーニュース社員の皆さん、そしてShort Noticeであったにも関わらず貴重な週末をつぶして地域の新聞のために集まる人達がいて、150年以上続くマーキュリーニュースが成り立っているのを実感した一日でした。

[写真右で机に座っているのが、交通情報コラムのゲイリー・リチャード氏です。]


2008年06月17日


またしてもAdobeの美味しいランチを頂いてきました。
前回に引き続きAdobeのエンジニアで、5月から新たにJTPAのCo-Presidentになった松原晶子さんにお忙しい中お時間を頂き案内して貰いました。ありがとうございました。

豪華社食で定評のあるボナペティが運営しているAdobeのキャフェは前回にもまして、料理が充実していました。我々のオーダしたメニューの一部をご紹介します。




どうですか? こんなランチが、$5~$7で食べられちゃうんですよ。うらやましいですね~。

今回は、食事の後に前回も社内を案内してくれた、広報のStacyさんにAdobeの環境保護への取り組みなどについての説明を受けながら新しい施設などを案内していただきました。


こちらは新しくできた軽食部。メインレストランより小さいですが、朝から夜まで営業し、Adobe社員の胃袋を24時間サポートします。さすがデザインのAdobe。インテリアがオシャレですよね。


中庭のバスケットボールコート。3つのビルの中心にある中庭は、ビル風が強く、他の球技はちょっと厳しそうでした。Adobeではこの風を利用して、風力発電を行う計画があるそうです。



トレーニングジム。毎日インストラクター付きのヨガやKickBoxなどのセッションがあり、自由に参加できます。シャワー付きのロッカールームも完備で、タオルは無料で貸し出し。仕事に疲れたらいつでもリフレッシュすることができます。「会社と家の往復でジムに通う暇がないので太った」、なんて言い訳できませんね。


Adobeでは、三番目のタワーを建設する際に、徹底して環境にやさしくエネルギーを節約するビルをコンセプトに設計し、世界で始めてUSグリーンビルディング委員会から、三つのプラチナレベルの認証を受けています。実際には、各フロア、各オフィスの電気が不用時には自動的に消灯される仕組みに始まり、いかにオフィスのエネルギー効率を高め、無駄がなくするかを隅々まで配慮して設計されているそうです。今後は、先に建設されていたほかの2棟についても、同様の節エネ、エコ化を進めてゆくそうです。中庭に植えられていたこの植物も、地元サンノゼで育つ植物で、水は社内でリサイクルされた排水を利用しているそうです。

Adobeのキャンパスは「オシャレで格好いい」というイメージでしたが、今回ステイシーさんに案内を受け、市や州に求められる環境基準をはるかに超えて、ここまでこだわっている姿勢に感銘を受けました。


オマケ写真は前回来たときには見なかった、メインロビー受付横の自動改札です。


2008年06月16日


土曜日にサンフランシスコで開催されていた、北米のレストランに食材から食器、POSまで幅広く提供するNA SALESさんの、第五回レストランショーに行ってきました。
某お寿司屋さんから紹介していただき、普段はレストランオーナーや関係者しか見ることの出来ないレストランショーに取材ということでお邪魔させて頂いきました。

サンフランシスコ空港に程近い E Grand Ave. にある、NA SALESさんの倉庫(?)スペースを利用して用意された展示会場には、食材、アルコール、業務用調理器具、和風食器、POSシステムなどレストラン関係者が必ず必要とするあらゆるアイテムがそれぞれのブースで、展示されています。

しかも、それぞれのブースでは試飲、試食し放題なので、各ブースで足を停められなかなか前へすすみません。(笑)

今日の収穫は、この越後ビールのECHIGO STOUT。多くのレストラン関係者が二重丸評価していたようなので、もうすぐ多くのレストランのメニューに加わると思われます。お店で見かけたら是非飲んでみてください。


常に人だかりができていた竹の露ブース。袴姿で日本酒について熱く語っています。


こちらは調味料の試食販売。ゆず塩は予想通りでしたが、抹茶ソルトが以外とイケました。(いや、好物の牛タン目当てに何度も試食したわけではありませんよ 笑)


包丁を研いだり、その場で刻印を入れてくれる実演販売。


倉庫では和食器が大特売中。みなさん、台車を押しながら大量に食器を購入されていました。レストランではかけた食器や不ぞろいの食器を出すわけに行かないので、食器は消耗品の一つです。

というわけで、あっちのブースでは美味しいお酒、こっちのブースでは美味しい食材と、こんなに楽しくておなか一杯になる展示会は初めてです。

今日一日だけは、ベイエリアのレストランが手薄になっていたのではないか、と心配になるほど盛況で、どこかで見たことあるレストランのオーナーさんや、シェフの方に沢山お会いしました。なかには、あっちで貰った試食のうどんに、こっちのブースの汁のサンプルをかけて、むこうで揚げないてんぷらのサンプルを貰って、「てんぷらうどんの出来上がり~」なんてツワモノや、お酒を一生懸命試飲しすぎて真っ赤になっているオーナーさんもいましたが、多くの来場者は各ブースで厳しい目つきで味を調べ、説明員と食へこだわりで盛り上がっていました。

こうして常に新しい食材を調べて、日夜美味しい料理をリーズナブルな価格で提供するために努力されているという、レストラン関係者の舞台裏を少し垣間見た一日でした。


2008年05月26日


今回のイベントの取材の中で、アーティストブースで似顔絵を描いていた Lisha Leeさん(20歳学生)をインタビューしていたところ、日本人と思われる三人組が、Lishaさんとイラストを交換したいとやってきました。たまたま居合わせたので、通訳をしていたのですが、Lishaさんがかなり興奮しているので、詳しく聞いたところ日本人3人は、ファニメコンがオフィシャルゲストとして招待した日本のアニメ製作会社「ガイナックス」からパネリストとして来米していたガイナックス生え抜きのアニメーター、すしおさん、久保田誓さん、小島大和さんだったのです。

名前を聞いてピンと来ない人でもエヴァンゲリオン、グレンラガン、おじゃ魔女どれみ、ワンピース、デジモンアドベンチャー、サクラ大戦、スチームボーイ、NARUTO、犬夜叉などの原画や作画監督を務めた三人と言えばその凄さがわかるかと思います。

ガイナックスの皆さんは昨日アーティストブースに立ち寄った際に、Lishaさんのイラストに感銘を受け、是非イラストを交換したいと二日目のトークセッションの後、他のメンバーはマスカレードに行ったのに再度アーティストブースを訪れたのでした。

日本のアニメが大好きで、エンドロールのクレジットを見なくても各エピソードの作画監督の名前まで分かってしまうというほど、アニメオタクなリーシャさんは、大好きなグレンラガンの作画監督がイラストの交換を申し出てくれたことで大興奮。周りのブースにいた同じくガイナックスアニメのファンの友達を呼んできて、急遽日米イラスト描き下ろし交換会となったわけです。

リーシャの友達のエイミーなどは、ガイナックスの最新アニメ、グレンラガンの大ファンで、会場に日本語の原画集やガイド本などを持ってきており、アニメーター本人に目の前でサインしてもらうというハプニングに興奮して言葉も出ず会場を走り回っていました。


イラスト描き下ろし対決の方は、アメリカのファンチームが短時間で上手なイラストを描くという点で圧倒。

ガイナックスの皆さんも、「これならいつでも働ける」と太鼓判。(ただし、本物のアニメーターになるためには絵が上手いだけでなく、動きを上手に表現することが大事だそうです。)
イラスト描き下ろし交換会は、アメリカチーム4人、日本チーム3人を巻き込み、会場がクローズする9時を過ぎても終わらず、事務局のスタッフに撤収を急かされる中、10時頃まで続いた後、場所を近くのピザレストランに移して、交流会となりました。

交流会では、「アメリカのCGアニメは日本のアニメーターについて脅威なのか」「アメリカのアニメファンは、どうやって最新の日本アニメ情報を得ているのか」「日本のアニメーターが低所得、悪条件でこきつかわれているというのは本当か」など、核心に迫った質問などで盛り上がり、ピザ屋を出た頃には深夜零時を回っていました。

こんなにもアメリカの、そして世界の若者の心を掴んで熱中させている日本のアニメーションとオタク文化。これを作り上げているアニメーターや声優などのみなさんこそ、これからの世界で日本を代表する最も大事な役割を担っていると感じました。日本政府は、伝統文化やODAで日本を売り込むのもいいですが、日本を代表するオタク文化を認め、受け入れて、下手なコントロールはせず、規制もせず、正しく発展してゆくようにするためのアシストに力を入れていくべきと強く感じました。そして、我々日本人は、オタクという言葉の持つネガティブなイメージを捨て、日本が世界に誇る文化と胸を張って、アニメがゲームなどの文化を支持してゆくべきだと思います。

地方版編集長は今後も日本のオタク文化を正しくアメリカに広めるために、力を尽くしてゆきたいと思います。



ファニメコンの小会場で行われていたアニソンカラオケコンテストでは、コスプレで着飾った参加者たちがお気に入りのアニメの主題歌を熱唱。最初は全員日本人かと勘違いしたほと皆日本語が上手でびっくりです。

聞いたことも無いようなレアな主題歌を歌う人から、宇多田ヒカルの非アニメ曲を熱唱する人、ニコニコ動画の組曲を最初から最後まで振りつきで歌うグループなど、これまた濃い~人が多くて楽しめました。初日のカラオケコンテストの上位入賞者は翌日のマスカレードで歌う権利を与えられ、「涼宮ハルヒの憂鬱」から「恋のみくる伝説」を歌ったお姉さんが優勝したようでした。(娘レポート)

また、非アニメで盛り上がったのはオンラインゲームのガイアのスタッフによるトークセッションで、数百人入る会場には1時間以上前から長蛇の列が出来、開演時に来た人は席が足らずに入場できないほどの盛り上がりでした。


ガイアのトークセッションは、現在開発中のMMOのプレビューやクリエイターやスタッフによる裏話、グッズの無料配布などで盛り上がり、2時間のセッションの後半の質疑応答ではスタッフにプロポーズするファンが続出。セッション後のスタッフサイン会にも多くの人が詰め掛けました。オンラインゲームのスタッフ(普通の社員)がこれだけもてはやされるというのも不思議な現象です。そして、アニメでも日本産でもないのに、ファニメコンの来場者とファン層が一致しているというのも興味深い点でした。ちなみに、我が家の下の娘は、このイベントでスタッフが客席に投げたグッズを二つゲット。さらにそのグッズに創設者のサインまで貰いご満悦でした。




編集長は日本のいわゆる「コミケ」には行ったことが無いのですが、日本のコミケはコスプレがイベントの一つとして独立しているのに対して、ファニメコンでは、参加者が自由にコスプレのまま会場を訪れているのが大きく異なるそうです。

このコスプレ、ハロウィン前にスーパーで売っているペラペラのコスチュームとは異なり、多くが手作りで細部に渡って、アニメのキャラクターの衣装が再現されており、着ている人の思い入れがうかがわせられます。中にはメインキャラクタではなく、エピソードの一部に出てくるマイナーなサブキャラクタや、「第何話でだれと戦ったときの衣装」など設定の細かいものもあり、既製品のコスチュームと違って同じキャラクタでも二人として全く同じコスチュームは無いところが見ていて面白いです。

かといって、手間やお金をかけた完璧コスチュームばかりなわけではなく、家にある洋服を合わせてそれっぽい衣装にしてみました、という参加者も多く、ありあわせの衣装と簡単なメイクでコスプレできるという理由からか、今年はデスノートのエルと、ミサのコスプレが一番多かったように感じました。専用コスチューム部門ではNARUTOが多かったようです。



他にも、ボーカロイドの初音ミクやレイザーラモンHGなど、「何で知ってんの~?」というレアキャラに扮している人もあり、「あ、あれ、○○に出てくる××じゃ~ん」と参加者のコスプレ見物しているだけでも十分楽しめるイベントです。このため、入場料を払わず会場前の噴水広場でコスプレの見物と撮影をするだけのために来ているという人もいるようでした。コスプレイヤーの皆さんは、カメラを向けるとそれぞれの「キメポーズ」をしてくれます。で、写真を撮っていると他の人も集まってくるため、人気のコスプレイヤーはいつまでもキメポーズのまま動けなくなるという状況を数多く見かけました。


今回被写体として目立っていたのが、アニメ、「BLEACH」のキャラクターに扮したグループで、総勢8人(写真では一人かけています)、地元のカレッジの仲間同士で衣装はオンラインで調達したそうです。メンバーのほとんどがファニメコンは3回目以上という常連で、今年はみんなでブリーチのコスプレをしようと申し合わせてきたとのことでした。

また、衣装の完成度が高かったのは、ビデオゲーム「ゼルダの伝説」の主人公リンク。オンライン通販で買ったという盾以外は殆どお母さんの協力による手作りで、この衣装の他にもゼルダの伝説シリーズの他の衣装も持っているそうです。残念ながら初日はOKだったのに二日目は剣の歯が金属だったために事務局に取り上げられてしまい、急遽ディーラーブースでプラスチックの剣を購入したとのこと。彼もまたファニメコンの常連でもう3年目になるそうです。オカリナを吹くキメポーズの他にもお願いして、いろいろなポーズを取って貰いました。





2008年05月16日


社員食堂企画もこれで第二十回目となります。ここまで続けてくる事ができたのも、この企画に協力してくださった皆さんと、レポートを読んでくださっている読者の皆さんのおかげです。ありがとうございます。


さて、栄えある第二十回目に訪れたのは、レッドウッドシティにあるオープンウェーブの本社キャンパスです。オープンウェーブは携帯電話向けの組み込みソフトウエア等を作っている会社で、あまり一般消費者が社名を目にする機会は多くないのでご存知の無い方もいらっしゃるかも知れません。日本だと、AUの携帯電話などにオープンウェーブのソフトウエアが入っているため、AUユーザの方は電源起動時にオープンウェーブのロゴを見ているはずです。

これまでの携帯電話はパソコンと違って、画面が小さく処理能力にも制限があったため携帯専用のサイトを専用ブラウザで閲覧するのが一般的でした。まだ携帯電話では文字表示が中心だった頃からこの規格をいち早く提唱し、専用ソフトウエアを開発、提供していきたのがオープンウェーブです。

今回、オープンウェーブの社員食堂を案内してくださったのは、同社でプロジェクトマネージャを務める馬越さんです。馬越さんとは、子供の年齢やシリコンバレーに来た時期が近いため、これまでも何度かすれ違ってきたのですが、先日行われたグーグルのイベントで声をかけて頂き、ようやくお会いしてゆっくりお話をする事ができました。

馬越さんから事前に、「うちの社員食堂は本当にショボイですから、掲載するかどうかは来てみてから決めてください」と念を押されいてたので、一体どんな掘っ建て小屋と屋台の食堂かと楽しみにして伺ったのですが、実際には全く持って普通の立派な食堂でした。みなさん、謙遜し過ぎです。同じ理由で編集長を呼んでくれるのを躊躇している人がいたら、今すぐご連絡下さい。元々社員食堂に過大な期待は持っていませんし、そもそも編集長は味音痴なので全然問題ありません。

さて、前置きが長くなりましたがオープンウェーブ社のカフェテリアに入っていた業者は、グッケンハイマーでした。おさらいしますと、ベイエリアの3大社食業者は、ボナペティ、アラマーク、グッケンハイマーの3社で、自社運営で無い限りほとんどの場合このいづれかの業者が入っています。グッケンハイマーと言えば、Cadence社の食堂も同じでした。

今日のメニューは以下の通り:

The Broiler: Catfish Poor Boy with Spicy Slaw and Your Choice of Side : $5.95
Market Bistro: Apricot Dijon Chicken with Herbed Cous Cous Parsfied Carrots and Fresh Bread : $6.96
Exhibition: Sesame Chicken Wrap with Asian Vegetables and Thai Peanut Sauce : $6.95
Pizza Pizzaz: Hawaiian Pizza with Diced Ham, Pineapple: $5.75
Road to Rmaine: Cheese, Croutons and Sliced Apple and a Red Wine Vinaigrette.

このなかから編集長は0.37秒ほど真剣に迷ったあげく、アプリコット・ディジョン・チキンをチョイス。

見た目的には「照り焼チキンとクスクスにブロッコリー添え」なんですが、一応 Apricot Dijon ChickenとHerbed Cous Cous というと、2ドル分くらい高級になった感じがします。これにパンを添えて$6.96。レジのおばちゃんが、パンを別料金で計算していたみたいで、飲み物と合わせて10ドルを超えてしまいました。ま、それでも外食してチップ払ったと思えばそんなもんですが。馬越さんはランチは基本的には愛妻弁当持参派なのであまり、社員食堂は利用しないそうなのですが、今日は編集長に付き合いで、セサミチキンラップ、こちらも野菜たっぷり&胡麻ソースで美味しそうでした。

食事の間は、馬越さんとニッポンの携帯事情やiPhoneのこれからと言ったお堅い話から、アメリカで育つ子供の日本語教育についてなど、話が合い食堂が混む前にということで早めに入ったにも関わらず、出る頃には周りの人はみな食事を終え食堂は閑散としていました。

今日のメニュー(レシート失くした)
Apricot Dijon Chicken with Herbed Cous Cous Parsfied Carrots and Fresh Bread : $6.96
追加パン: $??
ソフトドリンク: ??

ごちそうさまでした。


2008年05月13日


ebayに続いてまたまた社員食堂におじゃまして参りました。二連荘です。
Yahoo訪問は2回目となりますが、今日は、前回訪問時に案内をしてくれた松本さんが普段働いているほうのキャンパスのカフェにお邪魔しました。 HQではなくて、101から見える方のキャンパスです。前回の本社キャンパスのカフェの名前が、URL'sだったのに対して、こちらは:

DOT'Sです。DOT'Sといっても、Dippin' DotsのDotsではなくて、ドットコムのドットね。こちらのカフェに入っているのも、本社やebayと同じ業者、ボナペティ。と、いうことはまさかと思い、ebayのオンラインメニューのURLの一部を書き換えてみると・・・。 じゃーん、出ました、こちらがYahooのオンラインメニューebayと比較すると、価格差がはっきり。ebay の記事に書いた価格についてのコメント「ボナペティでこの値段なら満足でしょ」は訂正しないといけませんね。

今回こちらのメニューから編集長が選んだのは: Methi Murgh with Basmati Rice, Dahl, Raita, Chutney and Flat Bread

ま、いわゆるインドカレーとナンのセット。

今回は、先日グーグルのイベントでお会いした、ひろしまさんもお誘いし、Yahooからはnakaoさんも加わり4人で子育てから就職の話題まで延々3時間近く盛り上がり、食堂にほとんど誰もいなくなるまで粘ってしまいました。あまり話しが面白かったせいで、肝心の社員食堂について本社との違いや、内部の様子など取材するのをすっかり忘れて来てしまいました。ゴメンナサイ。

本日のメニュー:
カレー:$5
ソフトドリンク:無料
ごちそうさまでした。

なんと、明日も社員食堂の取材が入っています。今週なんとサンレンチャン。


2008年05月12日


社員食堂第19回目は、ネットオークションで有名な ebay です。

ebay は昔から社内が明るい雰囲気で福利厚生も充実していると聞いていたので、社員食堂もきっと素晴らしいだろうと期待していたのですが、全く期待を裏切らない内容でした。

ebayのヘッドクォーターが位置するのはサンノゼのHamiltonとBascomの交差点近くに位置するWhitman Campus。 最初は空港の近くのN. 1'st沿いにあるのがHQだと思っていたのですが、あちらはPayPal部隊になるそうです。 たしかに、Whitman Campusの方が、キャンパスと呼ぶに相応しく多くのビルが集合しています。ユニークなのはそれぞれのビルに、collectibles, toys, motors のように ebay の商品カテゴリと同じ名称が付けられていること。各キャンパスの玄関にはその名称に合わせたアイコンもついています。ちなみに、今回社員食堂を案内してくださった、アンドレアさんが働くのは、Collectibleビル。最近辞任した元CEO、メグ・ウィットマン女史もこちらのビルにオフィスを持っていたそうです。

さて、お目当ての食堂はjewerlyビル内にありました。食堂内の様子も各コーナーにポップな看板がつけられ、全体的に明るいカラーで楽しい雰囲気です。

余談ですが、シリコンバレーの社員食堂にはグーグル、アップルなどの自社運営を除いて、食堂業者が入っているケースがほとんどです。このエリアでは、ボナペティ、アラマーク、グッケンハイマーの3社が有名で、ほとんどの社員食堂にはこの三社のどれかの業者が入っています。そして、素材の内容やレシピも業者によって異なり、ランチの単価も変わってくるわけですが、多くの会社では、一食分の料金に対して会社側一部キックインすることで、社員の負担を軽減させています。

ebayでは、この中でも編集長が個人的にお気に入りのボナペティが入っていました。各社の具体的な料金設定は知りませんが、ボナペティはこれまで使われていた他の会社を見ても、高級の部類に入るのではないかと思います。アンドレアさんは、社員食堂にしてはちょっと高めとおっしゃっていましたが、ボナペティがこの値段ならOKと思います。

ebayの社員食堂のメニューはこちらのボナペティの専用ページで公開されており、一般からでも見ることができます。
Bon Appetit - Ebay

今回頂いたのは、マーケット・フィッシュのコーナーからサーモンバーガとほうれん草のサラダ。サーモンと野菜で作ったパテにタルタルソースとスプラウトを挟んだハンバーガー。全粒粉のバンズともぴったりで大当たりでした。注文してからパティが焼きあがるまで5分近く待たされましたが、そこがまた準備済みのネタを盛り付けるだけの食堂とは違って本格的です。

焼きあがるのを待っている間、他のコーナーを除いてみるとチルドケースの中には、美味しそうなNYサーロインステーキとマグロのお刺身が。焼き加減から調理法までオーダ可能です。

食事が終わってから、社内のebayグッズショップと、新しくできた中庭のイベントコーナーを案内してもらいました。イベントコーナーには、ビーチバレーのコートの他、卓球やビリヤード、テーブルサッカーなどの台、と大型バーベキューグリルが用意されていて、社内の部署や友人グループで予約をすると屋外の大型パーティもできるそうです。

また、グッズショップでは「これはちょっとレアアイテムなんでは!ebayでプレミアムつきで高く売れるかも」と思わせる、色々なebayグッズが所狭しと並べられていました。お土産に喜ばれそうです。

今回ご案内してくださったのは、マーケティングとユーザーインターフェイスの管理をされているアンドレアさんです。アンドレアさんは以前日本の福岡で2年間ほど高校の英語教師をしていたことがあるそうで、ベイエリアの美味しい日本レストランについて情報交換したのですが、日本人にも勝るほどベイエリア日系レストラン事情に詳しいのにはびっくりしました。アンドレアさんは、現在「美味しい冷やし中華」が食べられるお店を探しているそうです。

今日のメニュー
サーモンバーガーとほうれん草のサラダ $7.50
ソフトドリンク 無料

ごちそうさまでした。


2008年03月09日


いつもなら、「そろそろ寝る時間だぞ~!」と子供を寝かす土曜の夜10時、上の子供を連れ出してあるイベントに参加してきました。 ゲーヲタなら3月9日がNintendo WiiのSuper Smash Bros. Brawlの北米発売日であることはご存知でしょう。知らない人のために説明すると、スーパースマッシュブラザースは、HAL研究所が開発、任天堂が販売するゲームで、任天堂の歴代の人気キャラクターが登場する対戦型アクションゲームです。

全米最大のゲームソフト販売店チェーンであるGameStopは、3月9日の発売に合わせて、3月8日の夜10時から発売直前イベントとして、全米の全ての店舗でスマッシュブラザース(以下スマブラ)の発売イベントを企画。同ゲームを予約した人を対象に発売直前のWii版スマブラBrawl(日本語版:スマブラX)の対戦トーナメントを実施しました。Wii版ドラクエを購入したついでに当然のようにお小遣いを投入してスマブラも予約した娘は、ゲーヲタの友人とともにこのイベントをタノシミにしていたのでした。


で、地域では最大規模と思われるサンノゼ、Steven's CreekのGameStopについてみると、既にこの盛り上がりです。濃いーヲタク大集合。


結局、12時の発売を盛り上げるためのトーナメントは、こちらにありがちな段取りの悪さで(SO not well organized)、2時を過ぎても1回戦が終わらない始末で、2時になった瞬間にサマータイムで3時になったの合わせて2回戦敗退の娘を連れて深夜の帰宅と相成ったわけでした。その晩明け方まで家でスマブラで盛り上がったことはいうまでもありません。


大人のヲタクさんたちに紛れて善戦するムスメ


友人が娘たちの応援のために作ってくれたポスター


2008年03月03日


ちょっと朝から忙しいのでごめんなさい


2008年03月01日



社員食堂訪問レポートもとうとう十八回を迎えました。シリコンバレーで18社の社員食堂で食事をした人もあまりいないのではないでしょうか。今回は、サンラクララのMarvell本社キャンパスにお伺いしてきました。Marvellというと半導体業界の人なら知らない人はいない大企業ですが、一般の人の間ではあまり名前が知られていないかもしれません。うちの美人秘書も237から見える大きなMarvellのビル郡を見て「あれ、何の会社」なんて思っていたクチです。Marvellは半導体メーカで、電子機器の内部で様々な機能を制御するプロセッサを開発しています。ハードディスクのプロセッサチップでは圧倒的なシェアを誇るほか、最近ではiPhoneのBluetoothチップやPSPのWifiチップなども提供しています。表には見えないもののほとんどの家庭にMarvellのチップが搭載された電子機器があるわけです。

101を超え、Great Americaを通り過ぎしばらく行った左側の元3Com キャンパスがMarvellの本社です。駐車場に車を停めて受付に入るとまずそのバブリーな豪華さに驚かされます。鮮やかな色の熱帯魚が泳ぐ壁一面の巨大水槽、無駄に広い受付に置かれたヴェルサーチの数百万円のソファセット。バブル全盛期のシリコンバレーそのままでここだけまだバブルがはじけていないかのようです。

こんなMarvellに編集長を招待してくださったのは、アプリケーション開発を担当しているエンジニアのSさんです。Sさんは地方版を読んで、「是非うちの社員食堂にも」とメールを下さいました。こうした読者のみなさんのご協力でこの企画は支えられています。ありがたいです。

Marvellがバブリーなのは受付だけではありませんでした。なんと、Googleだけかと思っていた「全品食い放題無料」です。社員食堂にレジというものがありません。中華から、イタリアン、ハンバーガー、サラダバー、エスニックまで何を選んでいくら食べても無料。スタバなみのコーヒースタンドで何を飲んでも無料。朝食も無料、夕食も無料。その気になれば三食社員食堂で平日食費ゼロ生活も可能です。
無料だからといって、キャフェのメニューも手を抜いてはいません。写真はメインのキャフェの今日の各コーナーのスペシャルです。

手前から:
チキンサラダのボウル(サラダバー)
ハラペーニョとサワークリームのソフトタコス(ベジタリアン)
スローローステッドBBQポークのサンドウィッチとコールスロー(グローバル)
インディアンベルペッパーとチキンのホワイトカレーソース、ココナツライス(クラシック)
上海風野菜炒め、豆腐と白菜、ブロッコリの炒め物、ラムのシチュー、スパイシーチキン(中華)[写真]
このほかにもヌードルやタコス専門のキャフェが別棟にもあり、一日三食社員食堂で済ませても飽きることはなさそうです。いえ、無料のランチに飽きるなんて贅沢できません。


Marvellが無料で社員に提供しているのは食事だけではなく、本格的なトレーニングジムから、フィットネスクラブまで参加自由でもちろん無料。これで、馬鹿でかいキャンパスを移動するためにセグウエィが置いてあれば半導体業界のグーグルと呼んでもよかったところです。こうして快適な職場を作ることで、優秀な社員を集め、定着率を高めて会社が競争力を高めてゆくのですね。

今回、編集長がいただいたのは、Sさんお勧めの中華コーナー”Pacific Rim"から、「中華お好み定食全部のせ」と付け合せにジャガイモの煮付けを頂きました。オイシカッタ。

今日のメニュー:
上海風野菜炒め $0
豆腐と白菜、ブロッコリの炒め物 $0
棒々鶏(バンバンジー) $0
ライス $0
ジャガイモの煮付け $0
チャイニーズブレックファストティー $0
カプチーノ $0
(全部無料)

ご馳走様でした


2008年02月23日


大規模レイオフやマイクロソフトの買収オファーなどで連日騒がれている渦中の会社の社員食堂にお邪魔してきました。今回案内してくれたのは、メディア系のサービスを担当しているエンジニアで和食通でもあるブライアンです。



Yahooのメインキャンパスは、Mathilda Aveを北に進み101と237を超え、Firstと交差するところにあります。101から見えるミッションカレッジ横のビルが目立つので、あれが本社と思っている人も多いようですが、Jerry YangやDavid Filoがいるヘッドクォーターはこちらになります。今回、編集長も間違えてミッションカレッジキャンパスに行ってしまうところでした。
キャンパスに着いて、メインビルの前から携帯でブライアンに電話して待っていると、ものの数分でどこからともなくセキュリティが現れ、職務質問をされました。ここで待ち合わせなんだと答えると、先にレセプションで登録を済ませろと言われました。オープンなキャンパスが多いシリコンバレーでは珍しい厳重な警戒です。これも、時期的にいろいろな騒動のせいなのかと思ったら、ブライアンによると近所にレストランが少ないので、Yahooのキャフェに無断で入ってくる外部の人が多く問題になり、ランチ前後のセキュリティが厳しくなったそうです。無断で侵入したくなるキャフェはどんなクォリティなのか期待がつのります。



メインビルディングから、芝生の中庭を横断したところが、Yahooのキャンパスで一番大きいURL's Cafeです。食堂の名称を確認しておこうとググってみたら(あ、ヤフればよかった)なんと、レストランクチコミサイトのyelpにもエントリーがあり、7つもレビューが投稿されていました。Yahooのカフェにはここの他にも、dot's cafe など同じようにインターネットにちなんだ名前が付けられているそうです。
壁一面をが窓になっている明るいキャフェでは、買収問題などどこ吹く風といった様子で社員のみなさんが楽しそうに昼食をとっていました。メニューもアジア系、イタリアン、サンドウィッチ、ピザ、サラダバーなど豊富で食欲をそそるいい匂いが充満しています。

今日のチョイスはブライアンのお勧めでアジア・エスニックコーナーのスペシャル、マサラカレーセットを頂きました。二種類のカレーとライスの種類を選ぶことができ、ナンが2枚ついて$5.25。 飲み物はドリンクバーがレジの外にあり、何を取っても無料です。
飲み物無料といえば、キャフェ内の無料ソフトドリンクコーナーに加え、各ビルディング内にはスタバのようなコーヒースタンドがあり、キャラメルマキアートだの、ヘーゼル・ラテだの、流行りのフレーバーコーヒーが淹れたてで全部無料だそうです。オフィスでコーヒー無料くらい当たり前ですが、ちゃんとした淹れたてのコーヒーがいつでも無料で飲めるのは嬉しいですね。
カレーのほうは、5ドルという良心価格の割には十分なボリュームで良く煮込まれており、美味しく頂きました。これなら毎日でもOKです。実際、Yahooのメインキャンパスの周りにはレストランが少ないこともあり、ブライアンを含め毎日の食事をキャフェで済ますという人が多いそうです。このバリエーションと味なら、毎日でもいけそうです。

さて、念願のYahoo訪問がようやく決まった翌日に別のYahooの中の人から編集長にメールがあり編集長を招待してくださいました。偶然にも明日訪問予定ですが、是非合流しましょうということになり、ミッションカレッジのキャンパスから駆けつけてくれたのは、Yahooの中枢、検索エンジン部門で働く女性ソフトウエアエンジニアの松本さんです。検索エンジン部門のエンジニアとあっては、本業で検索順位に毎日悩まされている編集長としては、あんなことや、こんなことなど小一時間問い詰めたいことが沢山あったのですが、予想通り検索アルゴリズムに関するテクノロジーについては社外秘とのことで、教えてもらえませんでした。残念。でも、シリコンバレーを代表するインターネット企業で日本の女性がバリバリ働いている姿は格好いいです。最近は日本のメディアでもよくシリコンバレーで活躍するエンジニアが取り上げられますが、もっと松本さんのような女性を取り上げて、日本の女性エンジニアにもハイテクの聖地でどんどん挑戦して欲しいと思います。

実はYahooの食堂もSunやオラクルと同じで、ボナペティという業者が入っているのですが、ブライアンによると一時ラスベガスの有名レストランに就職が決まっている若いシェフがインターンで6ヶ月ほど別のビルのキャフェでメキシカンを担当していたことがあり、ボナペティが食材は提供するから好きなメニューを作ってという事で、毎日のようにユニークでかつ美味しいメキシカン料理が食べられた時期があり、そのころは毎日昼飯時になると社員がそのキャフェに殺到し、12時過ぎにはスペシャルが全て売り切れという時期が続いたそうです。是非そのときに呼んで欲しかったものです。



Googleとライバルとしてあげられることの多いYahooですが、社員食堂に限って言えば、Googleの全品無料で食材にこだわった自社レストランには到底勝てないものの、シリコンバレーの社員食堂としてはかなりいい線行っている方だと思いました。社員の皆さんもGoogleを敵対視しているのかと思ったら、Googleのサービスも活用していたりして、現場社員レベルでは周りが想像するほどライバル関係でも無いようです。社員食堂で周りを見渡したときの社員の皆さんの顔ぶれも、Geekっぽいけどオシャレという人が多く、どことなくGoogleのそれに近いように感じました。近々ミッションキャンパスのキャフェにもお邪魔する予定です。こちらのレポートもオタノシミニ。

今日のメニュー

マサラカレーセット:$5.25
ソフトドリンク:無料
お持ち帰りのチャイラテ:無料

ご馳走様でした。


2008年02月21日


シリコンバレー、社会科見学シリーズ第一弾 Namco Networks America, Inc.



社員食堂シリーズに続く新企画、シリコンバレー社会科見学シリーズです。どこが違うかというと、社員食堂が無い会社にもお邪魔できるようになったところです。

第一回の今日は、サンノゼのナムコネットワークス・アメリカさんにお邪魔しま した。ご多忙中、見学をご快諾いただいた上に、みずから社内の案内までしてい ただきました久恒社長、ありがとうございました。



ナムコネットワークス・アメリカでは、携帯電話向けのゲームの移植、開発をメインに行っています。パックマンを代表とするナムコのゲームは携帯電話のアプリケーションとしてもベストセラーの一つで、ほとんどの携帯電話でダウンロードしてプレイすることができます。ナムコネットワークスのゲームは全ての携帯 電話の実機で徹底したデバッグが行われており、その品質管理のレベルの高さが各キャリアから認められ、数少ないコンテンツプロバイダに与えられるSelf Certificationを受けています。この徹底した品質管理を支えているのは、日夜ゲームをするのが仕事というゲーマーにとっては夢のような仕事に携わっている、デバッガーの皆さんです。



ナムコでデバッガーとして働いている人はほとんどが派遣でスタートしてそのまま採用された社員だそうです。ナムコネットワークスでは、社員を大切にし、快適な職場環境と福利厚生に力を入れているため、毎年 Best Place to Work Awardにノミネートされ 2007年には表彰されています。 ゲーム業界では、デバッガーは必要なときだけパートや派遣で賄うケースが多い中、ナムコネットワークスではどんどん社員として採用することで、デバッグ担当者たちのモチベーションをあげ、高い品質の維持を実現しているわけです。

デバッグ担当社員の中には、ゲームが好きでこの仕事を3年以上も続けているという熟練デバッガも多く、携帯片手にインタビューを受けながらパックマンをノーミスでどんどんクリアしてみせてくれました。また、デバッガ出身で開発セクションに移動し、社内教育を受け、現在では同社の5本の指に入るプログラマに成長した社員の方もいらっしゃるそうです。



デバッグルームを見学させて貰う前に想像していたのは大学の寮のような雑然とした空間で、高カフェインのドリンクを山積みにしてソファに寝転がってゲームをやり続けているオタク集団だったのですが、実際に見学させて頂くと、整然と並んだデスクで50人近いデバッガの皆さんが片手に携帯、片手にPCで黙々とゲームプレイし結果をPCに記録するという作業を繰り返しており、みなさんが楽しそうだという点(ここ大事!)を除けば、ゲームの開発というより、他の業種の品 質管理セクションに近い印象でした。

ナムコネットワークスでは毎月のように発表される携帯電話の新機種に対応するための移植作業だけではなく、新規ゲームの開発にも力を入れており、最近ではアメリカで産まれたナムコのゲームが日本へ逆輸入されるケースもあるそうです。新規ゲームの開発には、キャラクターデザインをするデザイナからプログラマまで優秀な人材を確保するのが大変だとおっしゃっていましたが、快適な職場環境のおかげで社員の定着率は高いようです。





オフィスの一角に、掲示板がありゲームのデザイナやCG担当者が作った「落書き」が沢山張り出されていました。こうした商品と直接関係の無い落書きや、仕事中に真剣に他社ゲームをプレイすることなどもインスピレーションを生み出す手段として奨励されているそうです。仕事中にゲームに熱中していて誉められる会社なんて他には見つからないでしょう。



1980年に日本で生まれ、今年で28歳となるパックマンは今でもテトリスと並んで最もダウンロードされる携帯ゲーソフトとして世界中で愛され、そのキャラクターグッズも公式のものからバッタ物まで数多く販売されています。ナムコネットワークスの久恒社長はパックマングッズのコレクタでもあり、オフィスにはそのコレクションの一部がガラスケース内に保管されていました。社長のコレクションの中には、パックマンのシリアル、カップ麺などの食品から、キャラクターグッズ、ぬいぐるみ、電話機(パックマンが口をあけると受話器になる)などの珍しいアイテムが沢山ありました。



取材をして、ゲームのような「楽しさ」が売り物の商品を作るには、まず作り手も楽しまなければいけないこと、しかしユーザやクライアントが安心して楽しめるためには徹底した品質管理も必要なことを学びました。そして、社員のみんなに楽しく仕事をして欲しいという久恒社長のお人柄が170人を超える社員をまとめ、28年たったいまでもパックマンでワクワクさせてくれるゲーム作りを支えているのだと勉強になりました。


2008年02月20日


容量の制限によりサーバを引越しました。これより前の記事(2008年2月以前)は、こちらからご参照ください。